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防災リュックを見直す前に|わが家が「在宅避難」を選んだ理由【防災①】

50代の暮らし

東日本大震災のあとに作った防災リュックが、玄関に近い和室に置いてあります。

中身は、これまで何度か入れ替えてきました。でも先日、久しぶりに持ち上げてみたら、思ったより重い。開けたところで、手が止まりました。

「これを持って、どこへ行くんだろう」

中身を見直すより先に、考えることがありました。

わが家は逃げるのか、家にいるのか

防災の記事を読むと、リュックに入れるものが20個も30個も並んでいます。でも、それを持ってどこへ行くのかは、あまり書かれていません。

そこで、わが家の条件を並べてみました。

  • 高台にある(津波も、浸水も、土砂災害の区域でもない)
  • 築20年(2000年からの、いちばん新しい耐震基準で建っている)
  • 近くに避難所(公民館)がある。場所も知っている

並べてみて、はっきりしました。地震が来ても、家が壊れていなければ、わが家はたぶん家にいます。

体育館や公民館には、大勢の人が集まります。床は硬く、トイレの数も限られると聞きます。家が無事なら、家で過ごすほうが体はラクです。これを「在宅避難」と呼ぶのだと、あとから知りました。

もちろん、家が危ないなら迷わず避難所です。家が傾いていないか、壁に大きなひびはないか、ガスのにおいはしないか。それを確かめてから決めます。

逃げるのは、火事のときだけでした

では、家を飛び出す場面はないのかというと、ひとつだけありました。火事です。

火事は、数分で家を出ることになります。そして一度出たら、戻れません。

つまり、わが家の防災リュックは「火事のときだけ背負うもの」だったのです。そう気づいたら、中に水と食べ物をぎっしり詰めていた理由が、急に分からなくなりました。

リュック1つに詰めるのを、やめました

これまでは「防災=リュック1つ」だと思っていました。でも、逃げるか家にいるかで分けて考えたら、置き場所が3つになりました。

置き場所使う場面
① 枕元(寝室)夜中の地震。停電で真っ暗、床にガラス
② リュック(玄関に近い和室)火事。数分で家を出る
③ 家の備蓄(台所横の備蓄スペース)地震のあと、家で過ごす3日〜1週間

備蓄スペースというのは、台所の横にある3畳ほどの部屋のことです。飲み物やインスタント食品のストック、ごみ袋やラップなどの日用品も、まとめてここに置いています。

重いリュックは、火事のときに背負って走れません。家にいるなら、そもそも背負う必要もありません。

そして、3つに分けてみて、いちばん抜けていたのが枕元でした。

枕元にいちばん必要だったのは、靴でした

わが家の枕元にあったものは、この4つです。

  • 靴下
  • メガネ
  • 携帯電話
  • 懐中電灯

これで足りていると思っていました。明かりもある。メガネもある。携帯も、手が届くところにあります。

でも、ひとつだけ足りないものがありました。靴です。

靴下では、ガラスの上を歩けません

夜中に大きな地震が来たら、どうなるか。停電で、部屋は真っ暗です。そして床には、割れた窓ガラス、落ちた食器、照明のかけらが散っています。

その上を、靴下で歩く。
まず、切ります。

足を切ってしまったら、そのあとの一週間がまるごと変わります。片づけもできない、水も汲めない、病院はいっぱいで診てもらえない。

玄関の近くに防災リュックを置いていても、そこまでたどり着けなければ、意味がありません。置き場所は正解だったのに、そこへ行く道が抜けていました。

履き古したスニーカーを置きました

防災用の靴を買ったわけではありません。下駄箱にあった履き古したスニーカーを1足、枕元の手の届くところに置いただけです。

捨てようかと思っていた靴です。ここに置くなら、汚れていても、古くても、まったく問題ありません。かかった費用は、0円です。

枕元に置いた履き古したスニーカー

枕元に置いたのは、この3つ

結局、枕元はこの3つに落ち着きました。

  • :履き古したスニーカーでいい。ガラスから足を守る
  • 懐中電灯:小さなもので十分。携帯は連絡手段。電池は残しておきたい
  • メガネ:普段コンタクトの人ほど必要。見えないと、何も判断できない

携帯電話は、もともと枕元で充電しています。懐中電灯とメガネも、前から置いていました。

新しく買ったものは、ひとつもありません。足したのは、下駄箱にあった靴を1足だけです。

笛は、置きませんでした

防災の本には、枕元に「笛」を置くように書かれています。家具の下敷きになったとき、声よりも遠くまで届くからです。

わが家が置かなかったのは、寝室が2階で、倒れてくる家具もないからです。寝ている場所に倒れてくるものがない。これがいちばん確実な備えでした。

ただ、1階で寝ている方や、寝室にタンス・本棚がある方は、置いたほうがいいと思います。100円ほどで買えて、場所も取りません。

最後に、夫にリュックの場所を聞きました

防災リュックは、昔は備蓄スペースに置いていました。でも物がいっぱいで、いざというときに取り出せない。そう思って、玄関に近い和室へ移しました。まわりに何も置いていない部屋です。

移したのは、私です。何年も前のことでした。では、夫はその場所を知っているのか。聞いてみました。

「防災リュック、どこにあると思う?」

知りませんでした。

考えてみれば、当たり前です。移したことを、夫に伝えていませんでした。

その間ずっと、夫にとって防災リュックは「たしか、家のどこかにあるもの」でした。

先日、家じゅうの置き場所を1枚の紙にまとめて、冷蔵庫に貼りました。その紙に、「防災リュック → 玄関横の和室」と1行足しました。

置き場所を決めても、家族が知らなければ、置いていないのと同じです。

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次は、リュックの中身と、家の備蓄です

「逃げるのは火事のときだけ」と決めたので、リュックの中身も入れ替えることになりました。水や食べ物は、持って逃げるものではなく、家で使うものだったからです。

そこで次は、リュックの中身を全部、床に出してみました。残したもの、家に戻したもの、そして捨てたもの。かなり減りました。

よくある質問

避難所と自宅、どちらを選べばいいですか

家が無事なら、自宅にいるほうが楽です。ただし津波・浸水・土砂災害の区域や、1981年より前の古い家なら、迷わず避難所へ。まずハザードマップで、自分の家がどちらかを確かめてください。

防災リュックは、どこに置くのがいいですか

玄関に近く、まわりに物のない場所です。押し入れの奥では、取り出す前に出られなくなります。わが家は玄関横の和室です。

枕元には、何を置けばいいですか

靴・懐中電灯・メガネの3つです。とくに靴。夜中の地震では、床がガラスだらけになります。履き古したもので十分です。今夜、0円でできます。

懐中電灯は、携帯電話のライトではだめですか

代わりにはなりますが、おすすめしません。スマホは連絡のための道具です。停電中の電池を明かりに使うのは、もったいない。100円のライトで十分です。

まとめ

  • 防災リュックの中身より先に、「逃げるのか、家にいるのか」を決める
  • 決め手は、ハザードマップと家が建った年。わが家は「逃げるのは火事のときだけ」だった
  • 備えは枕元・リュック・家の備蓄の3か所。いちばん抜けていたのは枕元の靴で、0円だった
  • 置き場所は、家族が知っていて初めて意味がある

防災は、「何を買うか」より先に、「どう動くか」を決めることでした。わが家は「逃げるのは火事のときだけ」と決めたことで、備えがとてもシンプルになりました。

あなたの家は、災害が起きたら逃げますか。それとも、家に残りますか。

その答えが決まると、防災リュックの中身も、置き場所も、きっと変わるはずです。

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