以前、「夫が先に亡くなったら」をテーマに記事を書きました。
夫が先に亡くなったら?50代妻が今のうちに確認しておきたい3つのこと
書きながら、ふと思ったんです。逆は考えたことがあるだろうか?と。
統計的には夫が先のことが多いので、つい「妻が残される前提」で備えがちです。でも、順番は選べません。我が家でも「私が先だったら、夫は大丈夫?」と考えてみたら——正直、心配になりました。
今日は、妻が先に亡くなったとき夫が意外と困ること6つと、今からできる備えの話です。
妻が先に亡くなると、夫が困る6つのこと
① 家の「やり方」が分からない
試しに、ご主人に聞いてみてください。「うちのゴミ袋、何リットル?」——すっと答えられたら、この章は飛ばして大丈夫です。
家事そのものは、やればできます。問題はその手前にある、「名もなき家事」と呼ばれる細かな管理のほうです。
- 洗剤がなくなったら、次は何を買う?
- 排水口の掃除は、いつやっていた?
- エアコンのフィルター掃除は?
- お米やトイレットペーパーは、どこで買っていた?
我が家も、笑えないくらい当てはまります。ゴミを出すたびに「これ、どっちのゴミ?」と聞かれますし、排水口の掃除にいたっては、たぶん存在すら知りません。以前「洗剤を買ってきて」と頼んだら、返ってきたのは「写メを送って」。トイレットペーパーですら、どれを買えばいいか分からないと言われました。
ゴミ出しのルール、町内会の当番——妻の頭の中だけにある「家の運用情報」は、想像以上に多いものです。
② お金の全体像が見えない
我が家のように夫婦で財布が別だと、ここが一番の盲点です。
妻が管理している口座、妻名義の保険、妻のクレジットカードから引き落とされている家の固定費。妻にしか分からないお金の流れが止まると、支払いの漏れや、逆に解約し忘れたサブスクの払い続けが起こります。
試しに「家の契約」を書き出してみると、その多さに驚きます。
- 電気・ガス・水道
- インターネット・NHK
- 新聞・町内会費・浄化槽の点検
- 火災保険・車の任意保険
このうち何本が妻の名義で、どの口座から引き落とされているか。すぐに答えられる夫は、たぶん少数派です。
しかも、亡くなった方の名義の口座は、相続の手続きが済むまで原則動かせなくなります。
③ 付き合いの「窓口」がなくなる
親戚への連絡、ご近所付き合い、冠婚葬祭の采配。こうした人間関係の窓口を妻が担っている家庭は多いです。
いざというとき、誰に知らせればいいのか、お付き合いの相場はどうなっているのか。連絡先すら分からない、ということが実際に起こります。
④ 年金収入が大きく減ることがある
ここが一番の驚きかもしれません。
遺族厚生年金という制度はあります。でも、夫婦とも厚生年金に入っていて、年金額が同じくらいのご家庭は要注意です。夫にはほとんど支給されないケースがあるんです。
そのため、世帯の年金収入は大きく減る一方で、住居費や光熱費、固定資産税などの固定費は半分にはなりません。「一人になれば生活費も半分」と思いがちですが、実際には思ったほど支出は減らないものです。
「遺族年金があるから大丈夫」と考えず、一度夫婦で年金額を確認しておくことが大切だと感じました。
⑤ 食事と健康が崩れる
我が家の夫は、私がいない日はカップラーメンで済ませることがよくあります。「好きだから」というより、「考えるのが面倒だから」のようです。
もし一人暮らしが続いたら……。そう考えると、「自分の食事を自分で整えられること」も、大切な備えなのだと思いました。ひとりになった男性の食生活の乱れは、健康リスクに直結します。気持ちが沈んでいる時期ならなおさらです。
もうひとつ、見落とされがちなのが「相談相手」です。病院に付き添ってくれる人。ちょっとしたことを話せる相手。外出するきっかけ。妻がいなくなると、これらが一度に消えます。男性は地域や友人とのつながりが細くなりがちですから、孤立は食事の乱れ以上に、じわじわと健康をむしばみます。
⑥ スマホの中とサブスクは、本人しか知らない
今は、生活のかなりの部分がスマホ1台に集約されています。例えば、
- 動画配信や音楽などのサブスク
- PayPayなどのキャッシュレス決済
- ネット銀行・証券口座(NISAなど)
- Amazonの定期おトク便
- Apple IDやGoogleアカウント
- 家族の写真データ
問題は、残された家族には「何を契約しているのか」「どこに何があるのか」が分からないことです。サブスクは解約するまで請求が続きますし、ネット銀行やキャッシュレス残高の存在に気づかないこともあります。家族の写真も、スマホを開けられなければ取り出せません。
私も自分のスマホを見返してみました。夫がこれを開けられるかと考えたら……正直、無理です。写真も、PayPayも、ネット銀行も、サブスクも、私しか分からないものばかりでした。
昔は、通帳や保険証券を整理しておけば十分だったかもしれません。でも今は、お金も契約も思い出もスマホの中にあります。スマホの中も「家の一部」。家族を困らせないためには、その中身を少しずつ整理して、必要な情報を伝えておく。それも、これからの終活なのだと感じました。

今のうちにできる3つの備え
1. 情報を「2人とも分かる場所」に
エンディングノートは、書いた本人のためだけでなく、残る側のための道具です。口座・保険・契約・連絡先を書き出しておくだけで、お金・人付き合い・スマホまわりの困りごとの大半は解決します。
このとき、サブスクとネット契約は専用の欄を作るのがおすすめです。サービス名・引き落とし先・月額の3つだけでいい。あわせて、スマホのロックの開け方をどこかに残しておけば、スマホまわりの問題もほぼ解決します。
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2. お金の棚卸しを「2人で」やる
財布別の夫婦こそ、口座・保険・固定費の一覧を一度2人で作っておくことをおすすめします。明細を見せ合わなくても、「何がどこにあるか」を共有するだけで十分です。
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3. 家のことを「2人ともできる」状態に
「名もなき家事」だけは、エンディングノートに書き切れるものではありません。細かすぎるうえに、中身がどんどん変わっていくからです。現実的にできることを、ハードルの低い順に3つ。
その1. 普段から少しずつ話す。
「洗剤は、いつもこれを買っているよ」
「ゴミ袋は45リットルだよ」
そんな一言を、普段の会話に入れるだけでも十分です。特別に教える時間を作らなくても、少しずつ伝えていけば大丈夫です。
その2. 冷蔵庫に「わが家の案内板」を1枚作る。
私も最初は「家の取扱説明書」を作ろうと思いました。でも、暮らしの全部を紙に書くのは無理でした。そこで思いついたのが、「困ったらどこを見ればいいか」だけを書いた案内板です。例えば、
- ゴミの日 → 自治体アプリ
- いつもの買い物 → LINEアルバム
- 保険・口座 → エンディングノート
紙に書くのは、詳しい内容ではなく「どこを見れば分かるか」だけ。これなら、暮らしが変わっても簡単に更新できます。作ってみた話は、別の記事で詳しく紹介する予定です。
その3. 予行演習をする。友人との旅行などで、妻が丸1〜2日家を空けてみる。夫がひとりで家を回してみると、「何が分からないか」が本人に分かります。実は、これが一番効きます。
よくある質問
Q. 遺族年金があるから大丈夫ですか?
必ずしもそうとは限りません。共働きのご夫婦では、思ったほど受け取れないケースもあるんです。一度、夫婦で「ねんきん定期便」を見ながら確認しておくと安心ですよ。
Q. 亡くなった後、サブスクの支払いはどうなりますか?
自動では止まりません。解約するまで請求は続きます。カード会社に死亡を連絡するとカードは止まりますが、契約そのものはサービスごとに解約の手続きが必要です。
Q. 妻名義の口座のお金はすぐ使えますか?
原則、すぐには使えません。金融機関が死亡を把握すると、口座は凍結されます。当面の生活費は、自分名義の口座にも用意しておくと安心です。
まとめ:「どちらが先でも困らない家」が最強の終活
夫が先か、妻が先か。考えたくない話ですが、どちらの場合も備えは同じです。
- 情報を共有する(エンディングノート)
- お金の全体像を2人で把握する
- 家のことをお互いできるようにしておく
「妻が先だったら」を一度夫婦で話してみると、今やるべきことが具体的に見えてきます。我が家も、この記事をきっかけに棚卸しの続きをやるつもりです。
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