「うちのゴミ袋、何リットルか知ってる?」
夫に聞いてみたら、こう返ってきました。
「分からない。透明か半透明かも分からない」
「じゃあ、燃やせるゴミの日は?」
「分からない。でも、君に聞けば分かるから」
——その「聞く相手」がいなくなったら、どうするんだろう。
そう思って、「家の取扱説明書」を作ってみることにしました。ところが書き始めたら、思っていたのとまるで違う結果になったんです。
夫への10問クイズ
どこまで知らないのかを確かめたくて、10問のクイズを出してみました。責めるつもりはなく、ただの興味です。
| # | 質問 | 夫の答え |
|---|---|---|
| 1 | うちのゴミ袋は、何リットル? | ✕ 透明か半透明かも分からない |
| 2 | 燃やせるゴミは、週に何回・何曜日? | ✕ 「君に聞けば分かるから」 |
| 3 | 洗濯洗剤は、どこで何を買ってる? | △ 店は知っているが、商品は分からない |
| 4 | トイレットペーパーは、どれを買えばいい? | ✕ 「なんでも良いのでは?」 |
| 5 | お風呂の排水口の掃除は、どれくらいの頻度? | ✕ 「掃除してるの?」 |
| 6 | エアコンのフィルター掃除は年に何回? | △ 「年1回」(実際は年2回) |
| 7 | 電気・ガス・水道は、どこの会社? | ⭕ 知っている |
| 8 | その料金は、どこから引き落とされている? | ✕ 分からない |
| 9 | 町内会費は、いくらを誰に払う? | ⭕ 知っている |
| 10 | 浄化槽の点検は、いつ、どこの業者が来る? | ⭕ 知っている |
結果は、はっきり分かれました。
ゴミ出し、洗剤、お風呂の排水口の掃除。家事のことは、ほぼ全滅でした。
でも、電気やガスの会社、町内会費、浄化槽の点検。契約のことは、全部答えられました。
夫は、家に無関心なわけではないんです。契約ごとは知っている。知らないのは、毎日の家事のことだけ。
中でも忘れられないのが、お風呂の排水口の掃除です。
「お風呂の排水口、どれくらいの頻度で掃除してる?」
「……掃除してるの?」
やっていること自体が、知られていなかった。これが「名もなき家事」の正体なんだと思いました。
そして、もうひとつ意外だったのが光熱費です。電気・ガス・水道の会社は、すらすら答えられるんです。ところが「その料金は、どこから引き落とされているの?」と聞くと、こうでした。
「分からない」
もしものときに困らないためには、契約先だけじゃなくて、お金の流れも残しておかないといけない。そう気づかされた質問です。
「家の取扱説明書」を作ろうとした
知らないなら、書いて残せばいい。そう考えて、パソコンで表を作り始めました。
最初に作ったのは、こんな項目です。
- ゴミ出し(6つの分別と、それぞれの曜日)
- 掃除・家のメンテナンス
- いつもの買い物
- 困ったときの連絡先
ゴミ出しの欄には、「燃やせるゴミの日は、出す前に洗濯機とお風呂場の排水口のゴミも取る」まで書きました。細かすぎるかな、とも思いました。でも、細かいからこそ伝わらないんですよね。
書き始めたら9割いらなかった
ところが、書き進めるほど手が止まりました。
まず「いつもの買い物」。洗剤やシャンプーの商品名を書いてみて、気づきました。商品名を書いても、夫は棚で見つけられない。
「ナノックス ワン」とだけ書いても足りないんです。「ニオイ専用」まで書かないと、違うものを買ってきます。
前に買い物を頼んだときも、夫は私が送った写真を店員さんに見せて「これください」と言ったそうです。それなら、はじめから写真のほうが早い。
買い置きを並べてスマホで撮って、LINEのアルバムに「いつもの買い物」を作りました。

この写真をLINEで送ったら、すぐに夫から電話がきました。
「これ、買ってくるの?」
ちがうちがう、今すぐじゃなくていいの。次に切れたとき、これを見てね。そう伝えたら、少し間があって、こう言われました。
「サランラップなんて、どれも同じじゃないの?」
……そうか、そこからか。と思いました(笑)
でも、これでよかったんです。同じだと思っている人に、商品名だけ書いたメモを渡しても、たぶん伝わりません。
次に「ゴミ出し」。曜日と分別を全部書こうとして——自治体のゴミ出しアプリがあることを思い出しました。分別に迷ったら検索できるし、収集日の通知も来ます。紙より確実です。
「お金・契約」の欄も、書き始めてすぐにやめました。口座や保険をここに書いたら、それはもうエンディングノートです。二重に作る意味がありません。
30分で終わるつもりが、気づけば「これもいらない」の繰り返し。最終的に、作ろうとしていた「家の取扱説明書」はなくなっていました。
完成したのは1枚の「我が家の案内板」
残ったのは、たった1つの役割でした。
「どこを見れば分かるか」だけを書く。
中身は書かない。場所だけ書く。それだけの1枚です。

最初に思い描いていた「取扱説明書」とは全然違いました。でも、実際に使うなら、このくらいがちょうどいいんだと思います。
書いたのは、この7つだけです。
- ゴミの日・分別 → 自治体のごみアプリ
- いつもの買い物 → LINEアルバム
- お金・税金 → エンディングノート
- 家のこと(浄化槽・電気・ガス・水道・ネット・NHK)→ エンディングノート
- 車2台(任意保険・車検)→ エンディングノート
- 困ったとき(妻の妹・夫の妹)→ エンディングノート
- 大切な書類の保管場所 → エンディングノート
名前は「我が家のトリセツ」のままにしました。でも中身は、もう説明書ではありません。案内板です。
作り方は、手書きで十分だと思います。きれいに作る必要はありません。暮らしが変わったら、ボールペンで直せばいいだけです。
作って気づいたこと
案内板に「中身」は書かない
「困ったとき」の欄に妹の電話番号を書こうとして、ペンが止まりました。番号や口座を人目につく場所に書いておくのは、さすがに不用心です。
だから、番号は書きません。「連絡先はエンディングノートを確認」とだけ。中身を書かないから、貼っておける。こうしてブログにも載せられます。
※エンディングノートの置き場所だけは、紙の裏に書いて「困ったら裏を見て」と伝えました。
知らないのは、お互いさまだった
クイズをやってよかったのは、10問目でした。
「浄化槽の点検は、いつ、どこの業者が来る?」——夫はすらすら答え、私は答えられませんでした。
この紙は、私が夫に教えるためのものではなかった。どちらが先でも困らないための、2人で1枚だったんです。
年に1回、見直す
契約も、使うアプリも、変わっていきます。だから案内板には作成日を入れて、年に1回見直すことにしました。
書き直すのが面倒にならないよう、中身は書かない。ここでも「場所だけ」が効いてきます。
ちなみに、案内板の行き先になっているエンディングノートは、こちらを使っています。
よくある質問
Q. エンディングノートがないと作れませんか?
なくても作れます。「お金のことは○○の引き出し」でも構いません。大事なのは、行き先が決まっていることです。
Q. 夫が見てくれるか不安です。
見なくても大丈夫です。普段は使わない紙で構いません。困ったときに1枚あることを知っていてもらえれば、それで役目は果たします。
まとめ
「家の取扱説明書」を作ろうとして分かったのは、紙に書くべきことは、思ったより少ないということでした。
- ゴミの曜日は、アプリが覚えている
- いつもの買い物は、写真のほうが早い
- お金と契約は、エンディングノートの仕事
- 紙に書くのは「どこを見れば分かるか」だけ
この1枚があるだけで、全部を覚えておく必要がなくなりました。
「全部を書く」のではなく、「どこを見れば分かるか」を残す。それだけで、もしもの不安はずいぶん小さくなります。
今週末、ご主人に10問クイズを出してみてください。きっと、あなたの家だけの「我が家のトリセツ」が見えてくると思います。


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